ハザードマップの見方を5分で|自宅の浸水深と避難先を確認する手順

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「うちは大丈夫」と思っている場所ほど危ない——これは、水害のたびに繰り返されてきた言葉です。ハザードマップは、あなたの家がどんな災害でどれくらいの被害を受ける可能性があるかを、色と数字で示してくれる唯一の公的な資料です。

ただ、実際に開いてみると色が何層にも重なっていて、どこを見ればいいのか分からない。「浸水深3.0m」と書かれていても、それが自分の家では何を意味するのかピンと来ない。そこで挫折してしまう人が非常に多いのです。

この記事では、国土交通省のハザードマップポータルサイトを使って、5分で自宅のリスクを確認する手順と、色の意味の読み解き方、そして「見たあとに何をすればいいか」までを順を追って解説します。

モモ
モモ

ハザードマップ、一度は見たほうがいいって聞くけど…開いても色だらけで正直よく分からなくて。

キュー隊長
キュー隊長

最初はみんなそうだ。だが見る順番さえ決まっていれば5分で終わる。まず「重ねるハザードマップ」で住所を入れて洪水を1つだけ表示する。これが最初の一歩だぞ。

ハザードマップは2種類ある|まず違いを押さえる

国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトには、性格の違う2つの入り口があります。ここを混同すると「見たはずなのに情報が足りない」ということになります。

①重ねるハザードマップ|全国共通の地図に災害リスクを重ねて見る

1つの地図の上に、洪水・土砂災害・高潮・津波・道路防災情報などをチェックボックスで重ね合わせて表示できるサービスです。住所を入力すればすぐに自宅周辺が表示され、複数の災害を横断的に確認できます。全国どこでも同じ操作で見られるのが最大の利点です。

②わがまちハザードマップ|市区町村が作った公式マップを探す

各市区町村が独自に作成・公開しているハザードマップへのリンク集です。避難所の一覧、地域固有の注意事項、ため池の情報など、その土地でしか分からない情報が載っています。重ねるハザードマップで大枠を掴んだあと、必ずこちらも確認してください。

運営国土交通省(ハザードマップポータルサイト)
重ねるハザードマップ全国共通の地図に複数の災害情報を重ねて表示
わがまちハザードマップ各市区町村が公開する個別マップへのリンク集
利用料無料・登録不要
スマホ対応ブラウザでそのまま利用可
見るべき順番①重ねる → ②わがまち → ③避難所の確認

5分でできる|自宅リスクの確認手順

手順1:住所を入力して地図を出す

「重ねるハザードマップ」を開き、検索欄に自宅の住所を入力します。番地まで入れなくても、町名までで十分です。地図が表示されたら、自宅の位置を指で(PCならマウスで)中央に持ってきます。

手順2:災害を「1つずつ」表示する

ここが最大のコツです。複数の災害を同時に表示すると色が重なって判別できなくなります。まず「洪水」だけにチェックを入れて確認し、次にチェックを外して「土砂災害」だけを表示する。この順で1つずつ見ていきます。

手順3:自宅の色と数値をメモする

自宅の位置が何色か、そして浸水深が何メートルかを紙かスマホのメモに書き出します。「洪水:0.5〜3.0m/土砂:指定なし/高潮:該当なし」といった具合です。これが後の判断材料になります。

手順4:市区町村のマップで避難所を確認する

「わがまちハザードマップ」から自分の市区町村のページへ進み、指定緊急避難場所と指定避難所を確認します。この2つは別物で、前者は命を守るために一時的に逃げ込む場所、後者は自宅に戻れない人が滞在する場所です。

手順5:家族に共有する

確認して終わりでは意味がありません。浸水深と避難先を家族のグループチャットに送っておくだけで、いざというときの判断が数分早まります。

モモ
モモ

1つずつ表示するっていうのがポイントなんだね。全部チェック入れてたから真っ黒だったよ…

キュー隊長
キュー隊長

よくある失敗だ。地図は情報を足すほど読めなくなる。1災害ずつ、色と数字をメモする。これだけで格段に分かりやすくなるぞ。

色と数字の読み解き方|浸水深が「何メートル」なら何が起きるか

洪水ハザードマップの色は、想定される浸水の深さを表しています。数字だけ見てもピンと来ないので、生活のどこまで水が来るかで覚えてください。

浸水深どこまで浸かるか取るべき行動
0〜0.5m未満大人のひざ下。床下浸水の可能性屋内の高い階へ。徒歩移動は可能な場合も
0.5〜3.0m未満1階の軒下まで。床上浸水2階以上へ垂直避難、または早めに立ち退き避難
3.0〜5.0m未満2階の軒下まで2階でも危険。原則として立ち退き避難
5.0〜10.0m未満3階の軒下まで浸水範囲の外へ避難する以外にない
10.0m以上建物のほぼ全体早期の広域避難が必須

ポイントは「0.5m」と「3.0m」の2つの境目です。0.5mを超えると床上浸水になり生活が成り立たなくなります。3.0mを超えると2階に逃げても水が届くため、家にとどまる選択肢が消えます。自宅がどちら側かで、備えの内容が根本的に変わります。

浸水深と同時に必ず確認したい3項目

  • 浸水継続時間:水が引くまで何時間・何日かかるか。長いほど在宅避難は困難
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域:ここに入っていたら建物ごと流される恐れがあり、垂直避難は不可
  • 土砂災害警戒区域(イエロー)/特別警戒区域(レッド):レッドは建物が破壊される想定
  • 津波・高潮の浸水想定:沿岸部では洪水より深くなることがある
  • ため池ハザードマップ:内陸でも決壊すれば被害が出る

土砂災害はイエローとレッドで意味がまったく違う

土砂災害警戒区域(通称イエロー)は「土砂災害のおそれがある区域」、土砂災害特別警戒区域(レッド)は「建築物に損壊が生じ、住民の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがある区域」です。レッドに自宅がある場合、大雨のときに家にとどまる判断は極めて危険です。

「色がついていない=安全」ではない

ハザードマップは想定した規模の災害に基づく地図です。想定を超える雨が降れば、色がついていない場所でも浸水します。実際、内水氾濫(下水道の処理能力を超えて水があふれる現象)は多くの自治体のマップでカバーが不十分です。色がなくても、周囲より土地が低い、近くに用水路があるといった条件があれば油断はできません。

モモ
モモ

うち、色がついてなかったから安心してたんだけど…

キュー隊長
キュー隊長

色なしは「想定した雨では浸水しない」という意味であって「絶対に浸水しない」ではない。特に側溝や用水路のそばは要注意だぞ。過去の浸水履歴を市役所で聞くのも有効だ。

平時のハザードマップ、非常時のキキクル

ハザードマップは「その場所の弱点」を示す静的な地図です。一方、いま雨がどこで危ないかをリアルタイムで示すのが気象庁のキキクル(危険度分布)です。この2つを組み合わせて初めて、避難の判断ができます。

意味対応する警戒レベル行動
注意相当レベル2避難経路と持ち出し品を確認
警戒相当レベル3高齢者等は避難を開始
危険相当レベル4全員避難。ここが最後のタイミング
災害切迫相当レベル5すでに災害発生の可能性。命を守る最善の行動を

覚えるべきは「紫になる前に動く」という一点です。黒は「もう手遅れかもしれない」段階を意味します。ハザードマップで自宅が浸水想定区域内だと分かっている人は、赤の時点で避難を開始する——この基準をあらかじめ家族で決めておいてください。

マップを見たあとにやるべき3つのこと

1. 避難先を「2つ」決める

指定避難所が1つだと、そこへの経路が冠水していた場合に詰みます。方向の違う避難先を2つ用意し、それぞれへの徒歩ルートを一度歩いてみてください。地図上では通れそうな道が、実際にはアンダーパスで真っ先に冠水する場所だった、というのはよくある話です。

2. 「在宅避難」で足りるかを判断する

自宅がマンションの上層階で、浸水深が0.5m未満、家屋倒壊等氾濫想定区域外なら、在宅避難のほうが安全なケースが多くあります。その場合に必要なのは、避難ではなく水・食料・電源の備蓄です。逆に3.0m以上の想定なら、備蓄より避難ルートの確保が優先されます。

3. 家族の集合ルールを決める

「〇〇小学校の体育館前」「連絡は災害用伝言ダイヤル171」といった具体的なルールを紙に書いて、玄関と各自の財布に入れておきます。スマホが使えない前提で決めるのがコツです。

ハザードマップ確認後のチェックリスト

  • 自宅の浸水深と土砂災害区域をメモした
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていないか確認した
  • 避難先を方向違いで2か所決めた
  • 避難ルートを実際に歩いた(アンダーパス・冠水しやすい場所を把握)
  • 在宅避難か立ち退き避難かを決めた
  • 家族に浸水深と避難先を共有した
  • キキクルの見方を家族で確認した
  • 非常持ち出し袋を避難先まで持てる重さにした

賃貸・購入時にも必ず見る|重要事項説明での扱い

2020年8月から、宅地建物取引業者は不動産の売買・賃貸の重要事項説明において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を説明することが義務づけられています。契約前に説明がなければ、必ず尋ねてください。

ただし説明義務があるのは水害ハザードマップのみで、土砂災害や津波については別の規定によります。引っ越し先を検討する段階で、自分でハザードマップポータルサイトを開いて確認するのが確実です。家賃や間取りと同じ重みで、災害リスクを判断材料に入れてください。

よくある質問

Q. ハザードマップはどれくらいの頻度で更新されますか?

A. 河川の想定最大規模の見直しや、土砂災害警戒区域の指定変更にあわせて更新されます。数年単位で変わることがあるため、引っ越したときと、大きな水害が全国で起きたタイミングで見直すのがおすすめです。

Q. マンションの高層階に住んでいても確認は必要ですか?

A. 必要です。浸水すればエレベーターと電気・水道が止まり、上層階ほど孤立します。「浸水はしないが生活できない」状態になるため、水・食料・簡易トイレの備蓄が欠かせません。

Q. 賃貸物件を探しているとき、どのタイミングで見ればいいですか?

A. 内見の前です。候補の住所をハザードマップポータルサイトで確認してから内見に行けば、無駄足を減らせます。重要事項説明での水害ハザードマップの説明は契約直前なので、それを待つと選択肢が狭まります。

Q. 家屋倒壊等氾濫想定区域とは何ですか?

A. 氾濫した水の流れが速く、木造家屋が倒壊・流失するおそれがある区域です。ここに該当する場合、2階へ上がる垂直避難では助かりません。早い段階で区域外へ立ち退く必要があります。

Q. 内水氾濫はハザードマップに載っていますか?

A. 内水(雨水出水)ハザードマップを作成している自治体もありますが、全国すべてではありません。作成されていない地域では、周囲より低い土地・アンダーパス・地下室などを自分で洗い出す必要があります。

まとめ|5分の確認が、命の判断を早くする

ハザードマップを見る目的は、地図の色を覚えることではありません。「うちは避難するのか、とどまるのか」を災害が来る前に決めておくことです。この判断が済んでいれば、大雨の夜に迷う時間がなくなります。

手順はシンプルです。重ねるハザードマップで住所を入れ、災害を1つずつ表示し、浸水深と土砂災害区域をメモする。わがまちハザードマップで避難所を確認し、方向違いの避難先を2つ決める。そして家族に共有する。ここまでで5分から10分です。

そのうえで、いざというときはキキクルで色を確認し、紫になる前に動く。この二段構えができていれば、あなたの家族が助かる確率は確実に上がります。

モモ
モモ

思ってたより簡単だった!さっそく家族のグループに送っておくね。

キュー隊長
キュー隊長

それが一番大事だ。見て終わりでは意味がない。共有して、避難先を決めて、一度歩く。この3つで備えは完成だぞ。

この記事を書いた人|もしもナビ編集部(運営: Miyabi)
日本在住の運営者Miyabiと編集部が、公的機関・自治体・メーカー公式情報などを調査して執筆しています。緊急時は必ず公式窓口(119・#7119等)の案内を優先してください。 コンテンツ制作ポリシー

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